フェンス
「…始め。」
先生の声と共に皆が用紙をめくる。
皆真剣だ…
俺も一呼吸おいて用紙を裏返しテストにのぞんだ。
静かな教室に鉛筆の音と時計の音―…
緊張が漂う中60分はあっと言う間に過ぎた。
「…終了。裏返して後ろから集めてきて。」
…―終わった。
後は結果次第で皆の未来が決まる。
「はい。では今日から結果発表まで3日間学校は休校となりますので、すみやかに下校して自宅待機するように。」
ガラガラ―…
皆が教室を出て行く…
「裕!!真奈!!真優!!お疲れー!!」
涼がデカイ声で叫ぶ。
「おう!お疲れ!」
「うんうん。お疲れさーん。」
「……」
真優は何も言わない。
「真優?」
何も言わない真優に話し掛けた途端…真優はうつむいたまま走って教室をあとにした。
「真優…」
真奈が心配そうに首を傾げる。
「テスト終わって緊張がほぐれたんだよ!!大丈夫そのうちまた笑って会いにくるさ。」
「…うん。」
「そうだね…」
「んじゃ。帰ろっか!」
涼に背中を押されながら俺たちは教室をあとにした。