フェンス
『スーツケースの中に入っていたのはこれでした♪
俺はホワイトフェンスの中に綾紀さんの助手として入り込んでるんだ。』
秋斗さんはそう言って最後に胸につけたカードには確かに今の秋斗さんの顔写真が張ってあった。
…が、名前が違う。
『…陣野 大和?』
『んっ?あぁ―…これ?』
秋斗さんがカードを触る。
『これは親父のやつだよ。
そっくりだろ?俺と親父。
まだ現実世界にいた時、政府側のパソコンをハッキングしたらこのプロジェクトの一覧から親父の名前が消えてなかって…
何かに使えるかもって思ってこっちの世界にカードをデータ化して送っておいたんだ。 』
秋斗さんの言葉に付け足すように春斗が話し出す。
『親父は反対派だったのが元の原因で死んだわけじゃないからな。
虐殺が起きた時に流れ弾が当たって死んだから政府も死んだ確認がとれずに消し忘れたんだろうな。』
『えっ?そうなの?』