あたしペット。
「あら、おかえり」
夕方家に帰るのは久しぶりだった。
成瀬さんの家に殆ど寝泊まりしているから。
でもせっかくのデートだし、ちゃんとお洒落したかった。
「ただいま。家、いたんだ」
「そりゃいるわよ。誰の家だと思ってんのよ」
お母さんは馬鹿にしたように笑った。
「恋人んとこかと思った」
「それはアンタでしょ。ね、莉奈」
「…なに?」
「アンタさぁ、うちの店で働いてみない?アンタならいけると思うわ。アタシに似て美人だし」
お母さんは夜のお店の経営者だ。
スナックにキャバクラ、いくつも店舗があるらしい。