もう少し待っててね



みんなあたしを見てる。



あたしは目立ちたがりじゃないから、視線は痛い。


視線だけであたしの身体に穴空けないで


って言いたい。

これから大事な事あるし。



視線をUVカットのように跳ね返し、学校の門をくぐる。



久しぶりの下駄箱


久しぶりの上履き


久しぶりの廊下


久しぶりの先生達




みんな久しぶりで楽しくなっちゃう。




そんな事を思いながら教室のドアを開ける



「あっ」



1番最初に声を出したのは


あたしに慰める気なんか無かったって言った、あたしの友達。



今、何を思ったんだろう


「来やがった。一生来ないほうが良かったのに」




って思った?




まぁそんなのどうでもい




あたしは小さな声で「おはよ」と言い、席に座り




……たいんだけど

久しぶり過ぎて席を忘れてしまった。


うろちょろしてるとクラスの人が無言で窓側の席を指差した。


「ありがと」と言って、荷物を机の横に掛ける。



まだみんな驚いてる。


そんな驚かなくてもいいじゃない。


ったく。



HRまで時間があった。


机に腕をバッテンに組んで、その真ん中に頭を乗せる。





< 18 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop