オバケの駐在所
私は小さい頃から
目が良く、他の人が
気付かないものまで
見えていた。

鬼のような小人だとか
羽の生えた蛇だとか。

その者達が人に
危害を加えてるのを
見た事もある。

なるべく関わらない
ほうが身のためだと
子供ながらに
思ったものだ。


ふと、顔をあげると
おじさんが笑っている。

「……何が
おかしいんですか?」

「いや……、
それ、指輪してる
みたいだけど婚約
してるのかい?」

私の薬指にはめてある
シルバーのリングを
指さして聞いてきた。

「これですか?
……これはただ
気に入って
はめているだけです。
アトラスクロックって言う
時計をモチーフに
したみたいで……。
素敵ですよね、
時間を身に纏って
いるみたいで。」

リングには
ギリシャ数字が弧を
描いて刻まれていた。
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