オバケの駐在所
放課後になっても
学業を終えた生徒達は
グループで固まり
多少の賑わいを
作っている。

そんななか私も
周囲をなんとなく
窺いながらカバンをとり
席を立った。

「アカツキさん、
何か探し物?」

話しかけてくるのは
先ほどの
羊のような男子。

「いや、別に。」

私は先月からこの高校に
通う事になった転校生。
春に行われる
クラス替えより
1ヶ月ほど遅れて
編入したこのクラスに
段々と慣れてきた
私だったが
まだクラスメートの
名前は覚えていない。

そして私が
ざわついた教室を後に
廊下に出ようとすると
制服を着た体格のいい男が
ブレザーの前のボタンを
開けたまま
ふてぶてしい態度で
入り口の引き戸の前に
突っ立っているのに気づく。

道を塞いでいるその男を
少し大袈裟に
邪魔ですよと
言わんばかりに避けて
通りすがりに
舌打ちでもしてやろうかと
思ったら
突然男は私の肩をとり
大きな声で
話しかけてきた。

「なぁ、
話があるんだが。」

……こーゆー時に
逃げたくなるのは何故だ。
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