オバケの駐在所
私はそんな彼の腕を
引っ張って
黒く淀んで見えている
肩の辺りを
容赦なく思いきり
祓うように
何度も叩いてみた。

「いていて!いてぇ!
なんだぁ?
やめろよバカ!」

……とれないか。
なんだろうな。
浮遊霊とかでは
なさそうな感じ。
もっとこう
肌の下を何かが這うような
危ない悪霊みたいな。

「乱暴な奴……。
どっか行けよ、お前は!

ほら、部員も
集まってきたし
練習の邪魔だよっ!」

と邪険にしながら
歯を剥き出して
手の甲で追っ払う
仕草をする。

「無茶はいけないよ、
修二君!」

「無茶はお前じゃ!」

……仕方ない。
様子を見てみるか。
約束もあるしね。

私は校庭の隅にある
薄汚れたベンチに
制服のまま
構うことなく腰をおろし、
そのまま部活動を
見学する事にした。

グラウンドに響きわたる
バッティングの金属音。
白い煙を立てながら
ボールを追う球児達。
力強い掛け声は
躍動感あるプレイを
引き連れる。
心なしか皆
気持ちよさそうだ。

校舎の窓からは
私と同じように練習を
眺めている生徒達が
ちらほらといた。
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