オバケの駐在所
「みゆきちゃん!」

戸を閉めようとしたら
おじさんが呼び止める。

私はほんのり
笑いながら、

「なんですかぁ?
さっきまでキミキミ
言ってたくせに……。

卵好きかと
思っちゃいました。」

なんて言って
みたりする。

「送りたいんですか?」

期待してたりして……

「……いや、君さー、
たしかに今日は
寒いけど、マフラーは
さすがに暑いんじゃ
ないか?
もうすぐ5月だぜ?」

……なんだそりゃ。

「……これは田舎の
両親が私のために
わざわざ送ってくれた
物なんです!
私はこーゆー色が好きだし
東京の人は冷たい
だろうからって……。」

そう言って赤いマフラーを
見せつける。

卵でも食ってろし……。

「そうか……、
大事なもの
だったんだな。悪い。」

何故かおじさんが
謝ってきたので、
軽く肩を
すぼめてみせた。

別に気にする事でも
ないしね。

「それじゃあ。」

そのまま軽く頭を
下げながら戸を閉めた。
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