オバケの駐在所
「いや……。」

とバツが悪そうな
顔をする晃君。
志野ちゃんは眉を
ひそめていたが
1番怒っていたのは
どうやら修二君であった。

何も聞かされていないのか、
この状況に目が泳ぎ
戸惑いながらも
怒りの矛先を
なんでもいいから
ぶつけたがっている様子。

「おいおいおい、
ちょっと待て!
校長からなんか生えてる
耳と尻尾もさることながら
オバケってなんだよ!?

狐が喋ったり
人が葉っぱになったり
信じらんねー事
ばっかだけど。

……まさか呪いってのも
本当なのか?
あの狐がやったの?
俺達はオバケのケンカに
巻き込まれたって
ゆーのかよ?
どーなんだよ!?」

「修二君、落ち着いて。」

口を尖らせて
興奮しながら
突っかかる彼が心配になり
私は思わず近寄って
なだめる。

校長は体を曲げて
謝りながら答えた。

「全ては
君の所存の通りだ。
私らのいがみ合いに
巻き込んでしまった事を
申し訳なく思う。
なるべくなら秘密裏に
ひっ捕らえたかったが
奴が君らの生気を
奪ってる事に気づいてね。
悠長にやってる
場合じゃないと言うことで
遅らせながら
葉っぱを身代わりにして
なんとか捕まえる事が
できたんだ。
ただわかってほしいのは
奴は人の拭いきれない
欲望や渇望につけこむ術に
長けていた事。
どんなに気を
張り巡らしていても
人が切磋琢磨と
生きていく以上
弱い心を生み出すのは
当然の事で、
そこを未然に防ぐには
君らの青春を
邪魔する事にも
なりうる訳であり、
学校の長という
立場としては……」

と話している途中で
急に修二君は
校長の胸ぐらを威勢よく
掴みかかった。
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