オバケの駐在所

私はそれを呼び止めて
聞いてみた。

「ハジメさん、
呪いは解けるよね？」

その問いに
おじさんは首を横に振る。
隣で口の端を上げる
オサキ狐が許せなかったが
どーする事もできない。
ただこのまま黙って
狐を連れてかれるのが
悔しい。歯がゆいのだ。

「試合、
見に行くよ。」

するとハジメさんも
口を開く。

「越えられない壁か
どうかは努力しないと
わからないし
後悔は
先に立たないもんだけど、
……だけど、
挫けずに
夢に届けばいいな。」

ハジメさん達が
遠く離れ
濡れた冷たいＹシャツが
うっとおしく体に
へばりついてきたから
私達も雨を避けるため
屋根がある
渡り廊下の所まで
移動する。

運動部の連中も騒ぎながら
同じく雨宿りをしていた。