オバケの駐在所
6月も半ばとは言え
雨に打たれるのは寒い。
タオルを
持ってこなかったのは
失敗だったなと
後悔していた時、
教室の戸が開いた。

「アカツキさん、
誰か待ってるの?」

声をかけてきたのは
ケンタッキーの
フライドチキンの袋を
両手にぶら下げた
志野ちゃんであった。
気のせいか
昨日よりも覇気がある。
……気がする。

「別に。
ただ晃君と約束しててね。
頼みを聞いてくれたら
イケメンを
紹介してくれるって
言うから
とりあえず待ってるの。」

そう言いながら
フライドチキンを受け取り、
未だに学生カバンの中で
残りカスを貪っている
ゴキブリに
1本与えてやる。

もしかしたら晃君は
命を削られてる事に
気づいていたの
かもしれない。
修二君が野球を止めれば
大事な物を
失わないですむ。
そうすれば呪いを
かけなくてもいいし
2人も魂を
とられないはずだ。
まぁあの化け物が
ただ約束を
守る気はしないが……。

だからあの時、
志野ちゃんと
仲良く話してた私に
声をかけたとか……?

「晃にそんな
友達いたかなぁ?
もしかして
修二の事じゃない?」

……げっ、
あの悪人面を?

「ほなさいなら。」

と帰りかける私の手を
志野ちゃんが掴んできて
引き止められる。
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