オバケの駐在所
はうっ……!

油断していたとはいえ
赤子の力とは思えない
強烈な一撃。わしは悶絶。

「おんのれぇ〜赤子ぉ、
クソだけじゃ飽きたらず
手も出してくるとは……
許さん!」

赤ん坊のサドスティックな
攻撃っぷりに
さすがにイライラが
募ってきて、
もう辛抱たまらんと
爪を剥き出し
赤ん坊に向かい
地面を蹴って
襲おうとしてみれば、
またもや赤ん坊に
大声を出されて
そのまま前にこけるわし。

今度は泣いている
ではないか…。

「ええぃ!
今度はなんだ!」

見ると茶色い汚れを
頬につけていて
ランボーのような
ペイントになっている。

「なんだ……、
てめぇのクソが
顔についただけじゃねえか。
足の毛に
つけられたやつだな?
人騒がせな。」

わしらの全盛期は
顔にそれこそ泥や
血へどやらつけて
拭う暇もないほど
ケンカに
明け暮れていたもんよ。

妖怪が世を跋扈する時代。
それなのに
今はいつの間にか
こんな狭い所に
追いやられて
自慢の爪も
食いぶちにあてがうのが
精一杯。

まぁ、食わなくたって
餓鬼みたいに
生きてはいけるけど……。

あれはなんかいやだ……。
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