オバケの駐在所
「うれしい、
この1枚は
写真にして残しちゃお。
プリンターとゆー物で
簡単にできるのですよ。
それで時々
見返して懐かしむの。

ほら坊や、
パパーって言ってごらんよ。」

……バカー。

「ねぇ、この子に名前を
つけませんか?
やはりアルバムに
名も刻めないのは
可哀想ですし。」

いちいちアホな事を
言ってくる女を
強く睨みつけると
赤ん坊を女に預けて
言われた通り
優しく教えてやる。

「そうだな、
考えないといけねぇな。
刻むのは墓石にだけどよ。」

「では…やはり食べて
しまわれるのですか。」

「ああ、
それとこいつの体を
湖で洗っといてくれ。
臭くてたまらんからな。」

「……たまにはぬー様も
一緒に入りませんか?
背中お流しいたしますよ。」

「こんな広い湖で
そんな狭っくるしい
事するか。

だいたいお前は
化け物のくせに
媚びついてんじゃねぇよ。」

わしが女に指差すと
俯いた奴は湿気った空気を
更に湿気らせながら言う。

「……媚びてる
訳ではありません。」
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