オバケの駐在所
常世の闇をのさばってきた
わしに刃向かうと
どーなるか……、
首から上を
跳ね飛ばしてやる。

水面を強く蹴り
鬼との間を一瞬で詰めて、
わしはもう餓鬼の
頭の目の窪みに
手をかけたつもりでいた。

だが急に揺れる視線に
ふらつく足。

なんだ!?

頭の中に熱い何かが
流れるのを感じながら
勢いよくダムの中止めに
ぶつかりめり込んで、
砕けた壁のコンクリートが
大きな塊で崩れていく。
まぁ転んだようなものだが、
その破壊規模はわしの
この世の中での
存在価値の
でかさでもあった。

……だがそんなものは
どうせそのうち人間共が
直すのだろうし
どうでもよくて、
問題は何故転んだかだ。

体全身が嫌に
熱くなってきた気がして
先ほど矢で貫かれた
傷口を少し撫でてみる。

……毒かこりゃあ?

「大丈夫ですか?
随分大きな音がしたけど。」

と、その時
不意に尋ねてくる
男の声がして
その方を向いてみると、
そこには警官の格好をした
人間の男が
湖に小舟を浮かべて
その上に立っていた。
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