オバケの駐在所
ついには壁と湖の縁まで
近づいて来て
目と鼻の距離になる。
すると男は
コンクリートに
埋まったわしを見て
不敵な笑みを浮かべるのだ。

「虎の体に猿の頭に
蛇の尻尾を持つ化け物か。
恐ろしいな。
今にもこの体に
牙を突きたてられそうだ。

だが動けないんだろう?」

その問いに
わしは何も返さず
ただ黙って先の成り行きを
見る事とした。
こいつの言う事は
図星であったし
なにより物怖じせず
接してくるこいつは
上にいる鬼なんかよりも
はっきり言って不気味だ。

何なんだ?

体は石でも
入れられてるように
重たくなって
どんどんと自由が
利かなくなってきていた。

「ときに聞くけど、
ここら辺で
子供を見なかったかな?
まだ生まれたばかりで
他愛もない赤ん坊なんだ。」
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