オバケの駐在所
首は自然に折れ
ガクッとうなだれて
血のようなものが
弾痕から止め処なく
あふれでる。

不思議と痛みはなかった。

……くたばるのか?
長い事生きたし
それもいいんだが
あの若造に
わしの恐ろしさを
教えてやれなかったのが
悔やまれる。

でもまぁ…仕方のねえ事か。

警官達はもうすぐ
雲に届きそうな距離にいる。

どうやらわしはケンカに
負けたらしい。

もう目を瞑ろうかと
そう思った時、
暗い気持ちを
払拭するような何かが
黒雲の合間から
すごい勢いで
飛び出してきた。

そしてあろう事か
油断していた
男の頭半分を
すれ違いざまに
かすめ取ってしまったのだ。

目を点にしたわしの腕に
そのまま
飛び込んでくる何か。

それは無邪気に笑い
モミジのような手には
色褪せた脳みそを
つけている。

「…わしがつけてやった腕が
主人を思い出して
戻ってきたか、
もしくは怪獣ゴッコの
続きのつもりだったか?
あれじゃー
警官は即死だよ。」

わしもつられて
笑ってしまった。

「ふふ、
よくやったなぁ赤ん坊。」
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