オバケの駐在所
重々しいまぶたを
もう1度頑張って
開けてみると
いつの間にか白い手拭いを
手に持った濡れ女は
先ほどと違い
今にも泣きそうな顔。

そして餓鬼が大人数で
必死にわしの体を
抑えつけていた。

「ああ!
やっとお目覚めになられた!
もうひどい寝相で……。」

……ああ?

濡れ女は桶に溜めた水に
音をたてて手拭いを浸すと
その濡れた手拭いで
わしの体の
火照りをとっていた。

体に乗っていた餓鬼達は
口々に溜め息を漏らす。

「もうっ!
ボーっとして
らっしゃるからですよ!」

……なんの事?

意味がてんでわからず
きしむ体で
起き上がろうとすると
額にとても
大きな激痛が走った。

「いててて…。
そうだ、
鉄砲で撃たれたんだ。
なぁ、鉛を
取り出してくれよ。
さすがのわしも鉄砲には
勝てなかったらしい。」

「鉄砲?
何を言ってるんです。
あなたは隕石に
当てられたんじゃ
ありませんか。
覚えておられませんか?
ひと月も
寝込んでいたのですよ?」

一体何がなんだか
眉を8の字にして
聞き返す。

「隕石?」
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