オバケの駐在所
「惑星探査機の名前だよ。
奴が交番の戸を
叩いてきた時は
俺も焦ったけどね。

遥かなる旅路を
終えたっつーのに
あんたにケガを負わせたのが
気がかりだったらしい。
何度もここにお見舞いに
来たんですよ。
でもこれでようやっと
成仏できたかな。」

「……はっ!
恩着せがましいんだよ。」

一体どこからどこまで
夢だったのか。
現実と夢の狭間が
妙に曖昧で
いまだにあっちに行ったり
こっちに戻ったり
してるよう。

鬼は?柱は?

向こうで楽しんだ分
引き戻された感があるな…。

これじゃなんのために
生き延びたのやら。

しかし脈打って痛む
頭を抱えた時、
わしは千切れてる片腕が
元に戻っている事に
気がつく。

……あ

「なぁ、そういや
あの銀の奴が産み落とした
命ってのは?
まさか水子に
なったんじゃ……。」

わしが聞くと
男は憎らしい笑みを
浮かべて
瞳を横に動かした。
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