オバケの駐在所
「何よ用事って。」

私が聞くと男の子は
恥ずかしそうに俯き
またもや口を
つぐんでしまったので
それを拒むように
その顔を覗き込む。

シャキシャキと物を
言ってほしいのよね。

「いや…その…。」

「んー?」

「……戦隊ものの
アニメが始まる
時間だから。」

……ぷ

「あんたまだ
そんなガキくさいもん
見てるの?
私なんてとっくに卒業よ。」

すると男の子は
少し頭にきたのか
ムッとした表情で答えた。

「君だって
人形で遊んでるんだろ?
その水泳バッグから
さっきチラッと
見えたけど……。
人形を肌身離さず
持ち歩くなんて子供だね。」

それを聞いて私は
焦りながら
指さされている
そのバッグを取ると
丸くなっている
袋の先の紐を
慌ててきつく引っ張り
口を閉じる。

「……み、みた?」
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