オバケの駐在所
子供は不思議そうに
こちらを見つめていたが
どうやら気づいては
いないみたい。

まぁそれはそうか……。
こんな物が
中に入ってるなんて
とても普通じゃないもん。

ごく当たり前な
どこにでもある水泳バッグに
私は悲しい物を詰め込んだ。

私怨極まりない
悲しい物を……。

「プールにでも
行ってきたの?」

「……ううん、
行こうとしたんだけどね。」

バッグの紐を持ち上げて
イスの背もたれに
きつく二重に
くくりつけると
私は溶けかけたアイスの袋を
もう一本開けて
雑誌を開いた。

そこに色めきたつ
とても綺麗で艶っぽい
モデルの女の人達。

何度見ても羨ましくて
そして憎らしい。
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