オバケの駐在所
……んん、落ち着く。
よくワガママ言って
寝るまでこーやって
一緒にいてもらってたっけ。

パパもママも隣にいて
気のせいかうちわで
扇いでくれている。

背中を撫でてもらいながら、
優しい声が聞こえたり
微笑んでいる両親。

……ああ、
そーか夢を見てるのか。
だって目をつむってるのに
こんなにはっきり
2人の姿が
わかるはずないもんね。

私が目を開けようとすると
一陣の風がざっと通り過ぎ
かすかに風鈴を
ゆらしていった。

寝ぼけまなこで
周りを見ると
そこで目に写ったのは
私の親ではなくて、
さっきまで
テレビを見ていた子供が
居間へ通じる
廊下の近くに立って
ずっと遠くを
眺めている姿。

「…あんたが
扇風機を止めて
うちわで扇いでくれたの?」

その子は黙って
ただ首をふる。
それでいてボーっと
何かを見てるので
なんだか不気味。
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