オバケの駐在所
そして息を切らしながら
大通りをひたすら駆ける。
蒸した部屋の中も
日差しが刺さる室外も
夏の不快さに対して
あまり変わりはしないけど
いっせいの蝉時雨が
やたらと心を
掻き立てる気がした。
……早く、……早く!
追いつかれちゃう。
これさえ届けられれば。
腕をふり足を上げて
懸命にあいつから
私は逃げる。
炎天下の夏昼下がり。
その時その瞬間に
耳に入ってきた
車のタイヤのスキール音。
目眩に襲われて、
気がつくと私は
赤い信号機が光る
横断歩道の真ん中に
突っ立っていた。
「危ねぇぞ、おい!」
と、横から
カーウィンドウを開け
顔だけ出して
罵ってくる
ガラの悪いおじさん。
私に向けて言ったのかは
わからないけど
私はそれ所じゃなくて
目の前にいる人が
とても怖くて
動けなくなって
しまったんだ。
目の前にいるのは
パジャマ姿で
包丁をダラリと
片手に持っている男の人。
こっちに歩いてきてる
鬼のような形相の
狂った男の人。
大通りをひたすら駆ける。
蒸した部屋の中も
日差しが刺さる室外も
夏の不快さに対して
あまり変わりはしないけど
いっせいの蝉時雨が
やたらと心を
掻き立てる気がした。
……早く、……早く!
追いつかれちゃう。
これさえ届けられれば。
腕をふり足を上げて
懸命にあいつから
私は逃げる。
炎天下の夏昼下がり。
その時その瞬間に
耳に入ってきた
車のタイヤのスキール音。
目眩に襲われて、
気がつくと私は
赤い信号機が光る
横断歩道の真ん中に
突っ立っていた。
「危ねぇぞ、おい!」
と、横から
カーウィンドウを開け
顔だけ出して
罵ってくる
ガラの悪いおじさん。
私に向けて言ったのかは
わからないけど
私はそれ所じゃなくて
目の前にいる人が
とても怖くて
動けなくなって
しまったんだ。
目の前にいるのは
パジャマ姿で
包丁をダラリと
片手に持っている男の人。
こっちに歩いてきてる
鬼のような形相の
狂った男の人。