オバケの駐在所
「美姫ちゃん!」

急な呼び掛けに我に返って
声がした方へ向くと
公園の片隅の植木に
夏彦くんが
隠れていて
手をこまねいていた。

雪崩れ込むようにして
植え込み近くに隠れる私。

「平気だった?
あの土くれオバケ
キミを追いかけて
いくんだもん。
なんかされなかった?」

「ったく何が
悪いやつじゃないよ。
このうえなく有害じゃない。
この嘘つき!
エンマ様が舌引っこ抜きに
来るんだからね。」

その言葉に
何か言い返したそうに
ふくれっ面になった
男の子。
だけど彼は生意気にも
私の手を握ってきた。

「震えてる……。」

あの日の嫌悪感は
そう簡単に拭いきれる
ものじゃない。
好きなものが嫌いになり
やがて鬼へとかわる
あの日の朝の出来事。
思い出すだけで
吐き気を催す。
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