オバケの駐在所

と思った時、
一滴の涙が
私の頬をつたった。

はれ？おかしいな…。
我慢できたと思ったのに。

なんて気づかずに
その涙を手で拭い
手の甲についた
涙を見ると赤い色。
さらには私の顔に
涙と思った雫がどんどんと
降りかかってくる。

前にいた夏彦くんが
何かに驚嘆したような
声を漏らした時
嫌な予感も一緒になって
降りかかってきた。

「美姫ー、
見つけたよ。」

聞こえてきたのは
聞き慣れた悪魔の声で
恐る恐る振り向いて
見上げると
そこにはパジャマ姿の
あいつがいた。

「さぁお家に帰ろうか。
ママも待ってるよ。」

私の大好きなパパの
なれの果て。

さっきは何もなかったのに
額がパックリと割れていて
そこから血が
流れ出ている。
それは顔から体までも。

その赤く濡れた形相は
まるで鬼。

パパはついに鬼と化して
しまっちゃったんだと
わかって
怖いのと同時に
すごく悲しくなる私。

そいつは赤い手を私に
差し伸べてこう言う。

「私のかわいい美姫。
帰る前にアレを
返しておくれ。
アレがないとパパは
困るんだ。
わかるだろう？」