オバケの駐在所
私が首を横に振ると
そいつはいぶかしげに
アゴに手をやり
何か少し
考えているようだった。
「……まだよく
見えないなぁ。
声は聞こえるのに。
…もう少し
増やしてみるか。」
そう言うと
手に持っていた包丁で
自分の反対の腕の
すみずみを
不乱に刻みだす。
そして何故か
100円玉や50円玉など
お金の銭を次々と
傷口にねじ込んでいった。
「……パパお金なかったろ?
残り少ないお金をさ、
誰にも持って
いかれないように
体に埋めてみたんだ。
…ぐ…そしたらさ、
……が…色んな物が
見えるようになって
…ぬう……ほら!
美姫の姿も
見えるようになったよ。」
数えられないほどの傷は
大きく開き
血まみれの傷口に
埋もれたお金が
瞳のようにぎらつき
動きだした。
ついには額の大きな傷までも
百々の鬼の目として
私達を見据え出す。
私はその異様な光景に
震えながら
夏彦くんの手をとって
走りだした。
「わあ!
ミキちゃん!
なんであいつは
僕らの事が見えるのさ?」
そいつはいぶかしげに
アゴに手をやり
何か少し
考えているようだった。
「……まだよく
見えないなぁ。
声は聞こえるのに。
…もう少し
増やしてみるか。」
そう言うと
手に持っていた包丁で
自分の反対の腕の
すみずみを
不乱に刻みだす。
そして何故か
100円玉や50円玉など
お金の銭を次々と
傷口にねじ込んでいった。
「……パパお金なかったろ?
残り少ないお金をさ、
誰にも持って
いかれないように
体に埋めてみたんだ。
…ぐ…そしたらさ、
……が…色んな物が
見えるようになって
…ぬう……ほら!
美姫の姿も
見えるようになったよ。」
数えられないほどの傷は
大きく開き
血まみれの傷口に
埋もれたお金が
瞳のようにぎらつき
動きだした。
ついには額の大きな傷までも
百々の鬼の目として
私達を見据え出す。
私はその異様な光景に
震えながら
夏彦くんの手をとって
走りだした。
「わあ!
ミキちゃん!
なんであいつは
僕らの事が見えるのさ?」