オバケの駐在所
オバケの駐在所の
おじちゃんからもらった、
プールの割引券を
ちゃんと持っているか
ポケットの中を
まさぐって確かめ、
忘れ物がないようにして
僕らは近くの
バス停に向かった。

その途中。

道には僕らの他にも
手を繋ぐ親子や
忙しそうに歩く会社員。

そんな行き交う人を見て
僕はつねづね思う。

僕らは普通の人と違って
この世での実態がない。

いわば死んでるって事だけど
本来なら命を亡くした時に
魂は肉体から離れて
成仏するもんらしい。

だけど僕らみたいに
何らかの原因で
現世に留まる事がある。

恨みつらみにせよ
悔いや妬みにせよ、
未練があるって言う事は
鎖で縛られてるような
もんなんだ。
……ってハジメの
おじちゃんが
言っていたんだけど。

つまりはその未練を
どーにかしないと
いつまでもこの世に
居続ける事になる。

だけどその先はどーなる?
留まる理由さえも
忘れてしまったら?

なんとなく
不安な気持ちになるけど
僕にはよくわからない……。
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