オバケの駐在所
手ぶらの彼女が
先に日陰と日向がマッチした
いい場所を見つけて、
僕がえっちらおっちら
そこに荷物を持っていき
レジャーシートを
大きく広げた。

するとさっきまでの事は
水が流れたように
頭から離れ、
高まる気分にのって
僕は美姫ちゃんの
手を握った。

だって流れるプールに
波のプール、
スライダーもあって
すごく胸が
ワクワクするんだもん。

「ねぇ、どれから行く?
美……」

しかし後ろを振り向いた時、
何故か彼女はその場から
こつ然と消えた。

僕が人でごった返す
プールを見渡していた
ほんの数秒の事。

近くにいる気配もない。

……手を握ったと
思ったのに。

ため息を漏らしつつも
僕はシートの上に座り
とりあえず彼女が
戻ってくるのを
待つ事にした。

どうせトイレか
食料調達か、
すぐ帰ってくるもんだと
思ったから。
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