オバケの駐在所
しかしそれから
どれだけ待っても
一向に美姫ちゃんは
帰ってこなくて、
もう待ちきれない僕は、
1人ででも
先に泳いでる事に決めた。

今日は全てのプールで
遊ぶんだ!
思い残す事なく!

だけど……思い残す事なく
遊んだら……?
その後はどーなるんだろう。

水の上を走るスライダーの
トンネルで、
どっちに行くかわからない
暗闇の中、僕は考える。

その後は……。

「そっちへ
行っちゃだめっ!」

すると暗闇の中、
誰かに手を引っ張られた。

「えっ?」

いや、実際は
引っ張られてない。
僕の気のせいかもしれない。

だけど手だけじゃなく、
全身を何か
無数の感覚が襲う。
触るとも掴むとも
言い難い異様な感じ。

怖くなって目を閉じたけど、
次に目を開けたら
普通にスライダーを
下まで滑り終わっていて、
水しぶきとともに
プールに飛びこんでいた。

「……変なの。」
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