オバケの駐在所
手を引かれている
子供の影は薄く
体も透けているほどで、
すでにこの世の者ではない事は
一目瞭然であるほど。

そして僕の
倫理観みたいなものは、
この時あたりからだんだんと
薄れかけてきていた。

その子達の後を追い、
いつの間にか
プールの園内も抜け出して、
気がついた時は
プールから続いている
遠く離れた公園の脇の林道。

振り返り美姫ちゃんの
心配もしたけど、
僕はもうコッチのほうが
気になってしかたなかった。

……いや、もしかすると
美姫ちゃんもあの子に
連れていかれたのかも
しれない。
急にいなくなったのも
おかしな話だし。

そう思いながら
ひたすら後ろをついていく。

空はだんだんと暮れ始め、
ヒグラシの鳴き声が
やけに耳につくようになり、
そばに立つススキの葉にまで
染み込んでいくよう。

道は少しずつ細くなる。

プールに来る時は
通らなかった。
ここは何処の細道なのか。

僕は前を行く2人を
見失わないように、
少し距離を縮める。

どうせこっちには
気づかない……
なぜかそんな気がしたし、
なんだか体のあちこちを
引っ張られるんだ。

草の間から、
土の深みから。

どうにも歩きづらくて、
やっとここがマトモじゃない
細道だとゆー事がわかった。

僕だってオバケだ。
だてにこの世で何年も
さ迷っていたわけじゃない。
ここは冥界にでも
通じてる黄泉路で
僕はそこを
歩いているんではないか?
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