オバケの駐在所

「あの……」

事を伝えようとした時、
遮る様に
手に持っていた携帯の
着信が鳴った。

賢司……！

「もしもし！？」

待ってましたと
言わんばかりに
張り上げて応対する。

声を聞かせて……！

「……みゆきか？
さっき家に
行ったんだけど……。
なぁ、大丈夫か？」

私は胸を撫で下ろした。
この人だけは素直な
生活を送ってほしいから。

純粋に生きてほしい。

「ああ、
きっと寝てた時に……。
来てくれたんだね。」

私は嬉しくなり
おじさんがいるのを
忘れて、
つい甘えた声を
出してしまう。

「心配だったからな。
会社にもずっと来ないで、
いつの間にか辞表を
出してるし。
……それに、」

雨の雫が首筋をかすめた。

「……おまえ小百合を
刺そうとしたんだって？」

……え？

「あいつはその事に
触れないでって
言ってたけど
俺はどーかしてると
思うよ。
あいつが何かしたのか？」

声を低くして賢司は言う。