オバケの駐在所
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん。」
と、そんな繊細な私の心情を
足蹴にするかのように、
風が塊のように浮きだって
電車の外から
窓ガラスを叩く。
まるで私が
一般の人達にない
違う感覚をもってる事を
知っているかのように。
私は眉をひそめ
大きく溜め息をつきながらも
急に現れたそれを
注意ぶかく観察してみると、
ライフルのような鉄砲を
斜めに背負い
獣から剥ぎ取ったような
ずさんな毛皮を
着込んでいて
小さいけれど
どうやら人の形を
しているようだった。
……猟師。いや、
マタギかな?
「お嬢ちゃん、
聞こえるかい?
私の言葉がわかるのなら
そこから一刻も早く
逃げなさい。」
掴んでしまえそうなほどの
その小さなマタギは、
北風に乗ってやってきたのか
言葉に少しなまりがある。
……それにしても
唐突に逃げろって
言われても。
学校に遅刻しちゃうよ。
「どうも匂うんだ。」
……私を見て言うな。
「暴力的で直情な
獣の匂いだ。
まもなくそこにやって来る。
そいつに襲われる前に
その場所から
立ち退いたほうがいい。」
と、そんな繊細な私の心情を
足蹴にするかのように、
風が塊のように浮きだって
電車の外から
窓ガラスを叩く。
まるで私が
一般の人達にない
違う感覚をもってる事を
知っているかのように。
私は眉をひそめ
大きく溜め息をつきながらも
急に現れたそれを
注意ぶかく観察してみると、
ライフルのような鉄砲を
斜めに背負い
獣から剥ぎ取ったような
ずさんな毛皮を
着込んでいて
小さいけれど
どうやら人の形を
しているようだった。
……猟師。いや、
マタギかな?
「お嬢ちゃん、
聞こえるかい?
私の言葉がわかるのなら
そこから一刻も早く
逃げなさい。」
掴んでしまえそうなほどの
その小さなマタギは、
北風に乗ってやってきたのか
言葉に少しなまりがある。
……それにしても
唐突に逃げろって
言われても。
学校に遅刻しちゃうよ。
「どうも匂うんだ。」
……私を見て言うな。
「暴力的で直情な
獣の匂いだ。
まもなくそこにやって来る。
そいつに襲われる前に
その場所から
立ち退いたほうがいい。」