オバケの駐在所
通り過ぎた駅の表札に
『青梅』と
書いてあったのを
かろうじて目で捉えた。
私達と同じ世界の
駅の名前だったけど、
窓から見える日常の風景は
なんだかとても
遠くにあるように見える。
「……うん。
あんまりはしゃぐなよ?
言ったって死んだ魂が
乗るんだから。」
「わかってるって!」
そう聞いて満面の笑みを
見せつける私。
列車と列車の間には
厳重な扉があり
開けようとドアノブに
手を伸ばすと
何故か勝手に開かれる。
……まぁこれしきでは
私は驚かないが。
歩けば綺麗に敷かれた
奥ゆかしい絨毯ごしに、
床が静かに音をたてる。
……きっと人を乗せたことは
ないのだろう。
けして私が
重いわけじゃない。
背もたれの長い椅子に
手を置いて触ってみても、
これが存在するはずのない
オバケ列車とは
思えないほどの
格調の高さである。
まるでオリエント急行を
彷彿とさせるほど。
……なんだか
駅弁がほしいね。
そんなプチ旅行さながらの
気分になっている時、
客車の椅子の肘掛けに
1本の傘が
立てかけてある事に
気づいた。
ああ、昨日雨だったから。
誰か忘れていったんだろう。
この時はこれくらいにしか
思っていなかった。
『青梅』と
書いてあったのを
かろうじて目で捉えた。
私達と同じ世界の
駅の名前だったけど、
窓から見える日常の風景は
なんだかとても
遠くにあるように見える。
「……うん。
あんまりはしゃぐなよ?
言ったって死んだ魂が
乗るんだから。」
「わかってるって!」
そう聞いて満面の笑みを
見せつける私。
列車と列車の間には
厳重な扉があり
開けようとドアノブに
手を伸ばすと
何故か勝手に開かれる。
……まぁこれしきでは
私は驚かないが。
歩けば綺麗に敷かれた
奥ゆかしい絨毯ごしに、
床が静かに音をたてる。
……きっと人を乗せたことは
ないのだろう。
けして私が
重いわけじゃない。
背もたれの長い椅子に
手を置いて触ってみても、
これが存在するはずのない
オバケ列車とは
思えないほどの
格調の高さである。
まるでオリエント急行を
彷彿とさせるほど。
……なんだか
駅弁がほしいね。
そんなプチ旅行さながらの
気分になっている時、
客車の椅子の肘掛けに
1本の傘が
立てかけてある事に
気づいた。
ああ、昨日雨だったから。
誰か忘れていったんだろう。
この時はこれくらいにしか
思っていなかった。