オバケの駐在所
窓から見える
外の情景は次第に
渓谷が伸びる山間部に
入ってきた。

駅のベンチに座っている
風化した白骨死体の横の
駅名標には『二俣尾』

この分だと終点は
あと30分ほどであろう。
探検するには程よい時間だ。

まぁそれは現実と一緒ならの
話だけど……。

私はそのまま
列車をまたぎ歩いてみる。
まるで自動ドアのように
勝手に扉が開いていくのは
オバケ列車と言えど
心地よかった。

緩急車はないのだろうか?
つまりは車掌室の事だけど。

私は危機的な事は何も考えず
ただこの状況を
楽しんでいた。


……この事を論文にして
学会に発表したいもんだね。

と、まぁ
おマヌケな死に方をした人に
与えられるダーウィン賞を、
下手したら
授与されかねないくらい
そんな脳天気な私だけど、
こんな薄気味の悪い
オバケ列車の車掌とさえ
普通に会話しちゃう
変なおまわりさんが
ついていれば
誰だって陽気に
列車内を歩けるってもんだ。
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