オバケの駐在所
……そうなんだ。
中にいる乗客は
みんな一生会える事のない
友達や家族、はたまた恋人に
ついの別れを惜しんでいる。
窓一枚を隔てただけなのに
外と触れ合う事は
到底叶わないような
強い閉塞感はそのためだ。
現世への最後の別れを
この窓から眺めるのだろう。
私達は
ここにいてはいけない。
なのにお気楽に
列車を見学なんて……。
私はアホか!
少々心を煩わせて
急ぎ足で歩きながら
ハジメさんのいる
客車まで戻ってくると、
奥の席に相変わらず
ぼーっと窓の外を眺めている
ハジメさんが見えた。
それともう一人、
その椅子の対面に
背を向けて座っている
髪の長い女性らしき人が
そこにいた。
それを遠くから
見ただけなのに、
私はなんだかそれが
去年亡くなった
私のお姉ちゃんでは
ないかって
変な期待を胸に
よぎらせてしまった。
何故かって
後ろ姿が似ていたし、
この列車なら
それもあり得ると
思ったのかも……。
女性の前にまわって
顔を覗いてみると
やはり違う顔で
まったく知らない人。
その女の人は
挙動不審な私に気づいて
ちょっと驚いた風だったが
すぐに取り直して
会釈をかわす。
中にいる乗客は
みんな一生会える事のない
友達や家族、はたまた恋人に
ついの別れを惜しんでいる。
窓一枚を隔てただけなのに
外と触れ合う事は
到底叶わないような
強い閉塞感はそのためだ。
現世への最後の別れを
この窓から眺めるのだろう。
私達は
ここにいてはいけない。
なのにお気楽に
列車を見学なんて……。
私はアホか!
少々心を煩わせて
急ぎ足で歩きながら
ハジメさんのいる
客車まで戻ってくると、
奥の席に相変わらず
ぼーっと窓の外を眺めている
ハジメさんが見えた。
それともう一人、
その椅子の対面に
背を向けて座っている
髪の長い女性らしき人が
そこにいた。
それを遠くから
見ただけなのに、
私はなんだかそれが
去年亡くなった
私のお姉ちゃんでは
ないかって
変な期待を胸に
よぎらせてしまった。
何故かって
後ろ姿が似ていたし、
この列車なら
それもあり得ると
思ったのかも……。
女性の前にまわって
顔を覗いてみると
やはり違う顔で
まったく知らない人。
その女の人は
挙動不審な私に気づいて
ちょっと驚いた風だったが
すぐに取り直して
会釈をかわす。