オバケの駐在所
「おじさん、
聞いてくれる?
いや、私の家に来て。
あのままにしておくのは
……かわいそう。」

雨音に弾かれる様に
むせびながら話す。

誰かに話を聞いて
ほしかったのか、
ただ寂しかったのか、
おまわりさんの存在が
とても温かいんだ。

「お姉ちゃん。」

おお、
少しびくついてしまったが…
そうか、
この子もどうやら
心配してくれている。

つい流れでた涙が
人外の者の心を
動かした……か?
いや、
単にこの子も
寂しいのだろう。

裾をつかみ
顔を覗き込んでくる
その子に
私は頭を撫でてやった。

「お姉ちゃんは大丈夫よ、
ほら!
手をつなごう。」
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