オバケの駐在所
「しかしまったく、
どうしてあなたがた姉妹は
こう掟破りなんですかね。
そこから外へ出られても
前も後ろもわからない
冥道に繋がるだけです。
あなた方生身の人間では
なかなか抜け出せません。
それともあの
チャチな妖怪を
信じるのですか?」

私はその言葉に
少し違和感を感じた。

……姉妹?
私と後ろの女の人の事を
言っているのだろうか?
それにしては
おかしな言い回しだ。

「あの!」

すると後ろのその女の人が
会話に入ってきた。

「その冥道と言われる所は
険しい道のり
なのでしょうか?
私は盲目に近い視力です。
ペットの犬も一緒に連れて
行きたいですし。
杖か何かあれば
いいのですが……。」

話を聞いていたのか
どうかはわからないけど
どうやら私達の事を
何も疑ってはいない。
自分が死んでいるのも
半ば夢なのではないかと
思ってるような言いぐさだ。

私はその言葉に
節目がちになりながら
前の客車を指さした。
この人は
連れていけないから。

「……何両か前に行くと
誰かが置き忘れていた
傘があります。
あれなら杖代わりに
なるかも。」
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