オバケの駐在所
電車はやがて
聞き慣れた駅のホームに
停まる。
そこでハジメさんは
席を立った。
「ただ市役所に
行くだけだったのに
長旅だった。
アンドロメダか
イスカンダルに行くかと
思っちまったよ。」
隣では今朝見た
お歯黒べったりな
おばさん達が、
どこの美容室が悪かったとか
怒りながら大きな声で
話していた。
特に変わったような
気はしないけど、
これから学校に行って
先生に怒られるかと思うと
そっちの方が気持ちが沈む。
「……役所に
何をしにいくの?
人間らしいじゃん。」
……と、話しかけてみる。
「知り合いのオバケちゃんが
彼氏にプロポーズ
されたとかで、
婚姻届を代わりに
取りに行ってあげるんだよ。
やかましいわ。」
「……ふーん」
オバケが結婚って……。
聞かなければよかった。
なおさらへこむ。
だけど発車のベルが
ホームに鳴り響いた時、
駆け込んでくる
乗客の雑踏に紛れて
ハジメさんは
和やかな表情で私を見た。
「髪型変えたんだな。
似合ってるよ。」
聞き慣れた駅のホームに
停まる。
そこでハジメさんは
席を立った。
「ただ市役所に
行くだけだったのに
長旅だった。
アンドロメダか
イスカンダルに行くかと
思っちまったよ。」
隣では今朝見た
お歯黒べったりな
おばさん達が、
どこの美容室が悪かったとか
怒りながら大きな声で
話していた。
特に変わったような
気はしないけど、
これから学校に行って
先生に怒られるかと思うと
そっちの方が気持ちが沈む。
「……役所に
何をしにいくの?
人間らしいじゃん。」
……と、話しかけてみる。
「知り合いのオバケちゃんが
彼氏にプロポーズ
されたとかで、
婚姻届を代わりに
取りに行ってあげるんだよ。
やかましいわ。」
「……ふーん」
オバケが結婚って……。
聞かなければよかった。
なおさらへこむ。
だけど発車のベルが
ホームに鳴り響いた時、
駆け込んでくる
乗客の雑踏に紛れて
ハジメさんは
和やかな表情で私を見た。
「髪型変えたんだな。
似合ってるよ。」