オバケの駐在所
「なんだ、いつの間にか
ハジメの車に
乗ってたのか……。
人間はみんな同じに
見えるから気づかなかった。」
ハジメはパトカーを
駐在所の横にある
狭い駐車場に頭から入れる。
車が行き交っている表通りの
ライトや街灯で照らされた
町の明かりから
一歩外れた暗い場所に
あるのに、
手慣れたハンドルさばきで
切り返しなく駐車して、
襟元をおさえながら
降りてきた。
そして淡い光がもれる駐在所に
寒そうに向かうハジメを見て
俺もパトカーから
ピョンと飛び降り近寄る。
「あ〜冷えるなぁ。
寒いのは苦手なんだよ。
お前は暖かそうだな」
「……別に。
毛皮があったって
寒いものは寒いし、
ハジメのほうが
俺にはよっぽど
暖かそうに見えるけど。」
「こんなペラペラな服が
暖かいわけないだろ?」
「そーじゃなくて……」
……いや、まぁ
人のいたわりや優しさとか、
そーいうのを
暖かいぬくもりって意味で
表現しようと思ったが、
歯がかゆくなりそうだから
言うのはやめよう。
人間の事を
羨ましがってるみたいだし、
俺はハジメに
同情されたくない。
ハジメの車に
乗ってたのか……。
人間はみんな同じに
見えるから気づかなかった。」
ハジメはパトカーを
駐在所の横にある
狭い駐車場に頭から入れる。
車が行き交っている表通りの
ライトや街灯で照らされた
町の明かりから
一歩外れた暗い場所に
あるのに、
手慣れたハンドルさばきで
切り返しなく駐車して、
襟元をおさえながら
降りてきた。
そして淡い光がもれる駐在所に
寒そうに向かうハジメを見て
俺もパトカーから
ピョンと飛び降り近寄る。
「あ〜冷えるなぁ。
寒いのは苦手なんだよ。
お前は暖かそうだな」
「……別に。
毛皮があったって
寒いものは寒いし、
ハジメのほうが
俺にはよっぽど
暖かそうに見えるけど。」
「こんなペラペラな服が
暖かいわけないだろ?」
「そーじゃなくて……」
……いや、まぁ
人のいたわりや優しさとか、
そーいうのを
暖かいぬくもりって意味で
表現しようと思ったが、
歯がかゆくなりそうだから
言うのはやめよう。
人間の事を
羨ましがってるみたいだし、
俺はハジメに
同情されたくない。