オバケの駐在所
警察のやつは
追ってこないようだった。

駅の改札口の近くまできて、
少し乱れた心音を
落ちつかせるため
一度大きく深呼吸した。

「大丈夫かい?兄さん。」

そのいきなりの言葉に
「うおうっ!」と
無様な声を出して驚いた。

何故っていつの間にか
すぐ隣に人がいたから。
しかもよく見たら
さっき街角で見たような
占い師風のばあさんだ。

「ヒヒヒ、
どうやら思いつめてるね。
私が1つアドバイスを
してあげよう。
どれ、ちょいと近寄りな。」

そいつはなんだか気味の悪い
ばあさんだった。

洗ったことのないような
汚らしいフードをかぶり
そこから覗く瞳は
白色に濁っているし、
身なりはおとぎ話に
出てくるようなローブとも
マントとも言いがたい
黒い布きれをまとっている。

そしてにやついた時にわかる
ギザギザの尖った歯。

まるで人じゃないみたいだ。

「ほれ、早く。
急いでいるんだろ?ヒヒヒ」

嫌な笑い方をする
ばあさんだと思いつつも、
俺は軽い気持ちで
顔を寄せた。

何かにすがりたいとでも
思っていたのかもしれない。
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