オバケの駐在所
私は後ろから
腰を下ろしている
おじさんの首に
そっと手を回し
背中に抱きついた。
「……ねぇ、
私を感じる?
……ここに
いるでしょ?」
少し考えた風であったが
落ち着いた動きで
ゆっくりと私の手を取り、
目の前にかざす。
「君は滞っているんだ。
止まった時の流れで
汚れていきたいのか?」
シルバーのリングは
思い出にある
以前の輝きはなく、
東京に来て
薄汚れた私の様に
赤黒く変色していた。
私は少しだけ
首に絡めている腕に
力をいれてみる。
女性の死体を抱いたままの
おじさんの顎の下に
私の細い腕は
図ったかのように
ぴったり収まった。
……この人をなんで
家に入れたんだっけ?
腰を下ろしている
おじさんの首に
そっと手を回し
背中に抱きついた。
「……ねぇ、
私を感じる?
……ここに
いるでしょ?」
少し考えた風であったが
落ち着いた動きで
ゆっくりと私の手を取り、
目の前にかざす。
「君は滞っているんだ。
止まった時の流れで
汚れていきたいのか?」
シルバーのリングは
思い出にある
以前の輝きはなく、
東京に来て
薄汚れた私の様に
赤黒く変色していた。
私は少しだけ
首に絡めている腕に
力をいれてみる。
女性の死体を抱いたままの
おじさんの顎の下に
私の細い腕は
図ったかのように
ぴったり収まった。
……この人をなんで
家に入れたんだっけ?