オバケの駐在所
この女の子は
私のアパートの隣の
部屋に住むご近所さんだ。
親子で暮らしていて、
娘であるこの女の子の
名前は花遊さん。
挨拶は何度か
したことがあるが
声をかけられたのは
初めてかもしれない。
見ると着物の布地は
糸のより具合が大きく、
帯には雪をあしらった牡丹。
そして駒下駄の
赤い鼻緒が印象付けられる。
……うん、かわいいな。
「なつみぃ〜」
……うっ。
それとは打って変わって
地獄の底から
這い出てくるような
おどろおどろしい声。
「……えへっ。
ごめぇん、大丈夫だったぁ?」
「ええぃ、気色わるい!
かぶるなネコを」
その様子を見て
口をおさえながら
くすくすと笑っている
女の子。
こんなやりとりは
学校では当たり前の
光景だけど、
できたら見られたくない
ものだ。
「ネコをかぶったんじゃなくて
撫でたんですぅ!」
お墓にたたられてしまえば
よかったものを……。
気色わるいとは、
なんて失礼なやつ。
私のアパートの隣の
部屋に住むご近所さんだ。
親子で暮らしていて、
娘であるこの女の子の
名前は花遊さん。
挨拶は何度か
したことがあるが
声をかけられたのは
初めてかもしれない。
見ると着物の布地は
糸のより具合が大きく、
帯には雪をあしらった牡丹。
そして駒下駄の
赤い鼻緒が印象付けられる。
……うん、かわいいな。
「なつみぃ〜」
……うっ。
それとは打って変わって
地獄の底から
這い出てくるような
おどろおどろしい声。
「……えへっ。
ごめぇん、大丈夫だったぁ?」
「ええぃ、気色わるい!
かぶるなネコを」
その様子を見て
口をおさえながら
くすくすと笑っている
女の子。
こんなやりとりは
学校では当たり前の
光景だけど、
できたら見られたくない
ものだ。
「ネコをかぶったんじゃなくて
撫でたんですぅ!」
お墓にたたられてしまえば
よかったものを……。
気色わるいとは、
なんて失礼なやつ。