オバケの駐在所
花遊さんは交番に入り
キョロキョロと部屋中を
物色し始めた。
何かを探している感じだ。
「……おまわりさんは
今日もいないみたいだね。
いっつもほったらかしなんだよ
この交番は」
そう言って私は近くにあった
パイプ椅子に腰掛け、
つい机に足をのせた。
「はしたないよ、なつみ」
――途端、後ろから
頭を叩かれた。
聞き覚えのある声。
私はすぐ振り返ると、
やはりそれは
ハジメさんだった。
手には菓子を入れた
茶色い器を持っていて
眉をひそめながら
おせんべいをかじっていた。
「あ、久しぶり……。
全然見かけないから、
どうしたのかって
思ってました」
「ああ、色々
やることがあってさ。
俺も元気にしてるかなって
思ってたよ」
「……ふーん、別にいいけど」
別にいいってことはない。
学校から帰ってくるたびに
何度も気にかけて
交番をのぞいていたのに、
まったく居合わせることが
ないし、
連絡先も知らないし。
まるで私が
会いたがってるみたいだ。
キョロキョロと部屋中を
物色し始めた。
何かを探している感じだ。
「……おまわりさんは
今日もいないみたいだね。
いっつもほったらかしなんだよ
この交番は」
そう言って私は近くにあった
パイプ椅子に腰掛け、
つい机に足をのせた。
「はしたないよ、なつみ」
――途端、後ろから
頭を叩かれた。
聞き覚えのある声。
私はすぐ振り返ると、
やはりそれは
ハジメさんだった。
手には菓子を入れた
茶色い器を持っていて
眉をひそめながら
おせんべいをかじっていた。
「あ、久しぶり……。
全然見かけないから、
どうしたのかって
思ってました」
「ああ、色々
やることがあってさ。
俺も元気にしてるかなって
思ってたよ」
「……ふーん、別にいいけど」
別にいいってことはない。
学校から帰ってくるたびに
何度も気にかけて
交番をのぞいていたのに、
まったく居合わせることが
ないし、
連絡先も知らないし。
まるで私が
会いたがってるみたいだ。