オバケの駐在所
それを聞いて私も思った。

確かにそうだ。
年をとらない人間なんて
いるわけがない。
それにいくらオバケだと
知ってたとしても、
ずっと姿が変わらずに
いたのなら、
少しは不思議に思っても
いい気がするけど……。

「手紙とか言ってたし
文通でもしてたのかね。
墓の下にご清祥も何も
ないだろうけど」

「う〜ん、
なんにしろ意思の疎通は
大事だよね」

私はブレザーのポケットから
携帯を取り出した。

……う〜ん、疎通かぁ。

ハジメさんは大口に
手をあてて、
アクビをかいていた。

……何も考えてなさそう
だけどなぁ。

すると花遊さんが
奧の部屋から走ってきて、
私たちの前を横切り
外を歩いていた誰かの背中を
押した。

その誰かは派手に転んだ。

花遊さんは着物の袖で
顔の表情を隠していたが、
目もとがニヤニヤと
笑っていた。

一方の転ばされた誰かは
めっぽう目つきが悪くて
悪人面だった。
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