オバケの駐在所
街中が暗くなってて
よくわからなかったけど、
影が2つ見える。

目を凝らしてよく見たら
着物姿の女性が下駄を鳴らして
歩いているのが
かろうじてわかった。

真っ暗な世界を行くその姿は
まるで江戸か明治にでも
タイムスリップしたような
錯覚にもおちいる。

さっきのから風が原因か、
それともこの
停電のせいなのか、
なぜか妙に胸が
ざわついてくる私。

……誰と一緒に
歩いているんだろう。

すると、ありがたいことに
月明かりが隣の人を瞬時
照らしてくれた。

しかしそれを見て、私はただ
あっけにとられた。

……修二くん?

見間違いではない。
そこにいたのは、
あの悪人面で同級生である
修二くんであった。

……何やってんのあやつ!?

私は窓の格子から
体を乗りだし、
首をキリンのように長くして
2人の姿を凝視した。

さっきの今
忠告したばっかなのに、
ニワトリか……。
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