オバケの駐在所
「よくなってきたよ。
私ってなんか悪い気が
たまりやすい体質みたいでさ。
容態も悪化するばかり
だったけど、
ようやっと落ち着いたかな」

「……ふーん」

と、反応はまぁ抑揚のない
あっさりしたものだった。

自分から聞いてきたわりに
話を掘り下げないというか、
……いや、何かを
言いたいんだけど
隠している感じだ。

「あなたに興味がないのよ……
あっはっはっはぁ……」

と、後ろから
髪を長くたなびかせた
ギョロ目の生首が飛んできた。

「それよりもあたしと
あやとりしましょう?」

私はため息をついた。

自分に手がないことも
わからない、
こういう見た目だけの
頭の悪いオバケばっかだったら
どんなに気が楽になることか。

もっとオバケのことを
知らないと
苦労しそうだな、私も。

そしてオバケに
見せびらかすように
慣れた手つきで
携帯を取り出して、
アドレス帳に新しく入れられた
ハジメの文字を見た。

私はマスクの下で
密かに顔をほころばせた。

……まぁわかんなかったら
聞けばいいか。なんて。
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