オバケの駐在所
その時、
幕を閉じるかの様に
玄関のチャイムが
鳴り響く。

ああ、
もう逃げられないか……。

おじさんは
抱いていた彼女を
小指の先まで
優しく寝かせてくれて、
もう一度
私を抱いてくれた。

「気をつけてな。」なんて
少し外れたセリフを
添えながら。


私が涙を拭いて
玄関のドアを開くと
紺色のスーツを着ならし、
白い布地の手袋をはめ、
金の徽章を付けた
紺色の制帽を
目深に被った男が
礼儀良く立っていた。

男は前で組んでいた
手を外し
顔の位置まで持ってくると
親指で帽子を
軽く上にずらし
柔和な物腰に言う。
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