オバケの駐在所
……誰?この人。

花魁のような
華やかな裾さばきに
白塗りの
シュッと締まった顔立ち。
金色の大きなかんざし。

道路をゆっくりと
闊歩してきて、
その隣をもうろうとしている
修二くんが歩いていた。

私は2人を
呼び止められなかった。

理由は簡単だ。

か弱い私の力なんかじゃ
殺されるかもしれないから。

おちゃらけた幽霊じゃない。
精気を根こそぎ奪うような
本物の悪霊。

強い街灯の光が当たるたび、
その女性の薄い皮膚が透けて
骸骨が浮かび上がっていた。

「お露だよ。
わたしは墓の下であいつと
ずっと一緒にいたんだ」

「……なんで……でもなんで
修二くんを?」

「わたしが逃げ出したかわりに
目をつけたんだろう。
あいつは1人じゃ
生きていけないから……。
人間の精気を糧にして
この世にはびこっているんだ」

「そんな……」

お墓を倒した時のことを
思い出した。

……原因は私にあるのに。
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