オバケの駐在所
次第に古い家屋が
目立つように
なってきたところで
お露は一棟の長屋へ
入っていった。

もちろん修二くんも
それについていく。
その吸い寄せられていく様は
まるでハーメルンの
笛吹きのよう。

しかし薄暗くて
電気も通っていない
ここらの家屋や、
足元もおぼつかない
この道にも
私はてんで記憶には
なかった。

花遊さんと通った
オバケの里道に入ったのか。
もしくは『れい道』、
『獣道』
……なんにせよ
墓の下にしては
月明かりまで妙にリアルだ。

しかし私は悩んだ。

このまま修二くんたちがいる
家の中にまでついていけば、
見つかってしまうどころか
私まで捕まってしまう。

そう思ってしばらく
行きあぐねていたら、
ちょうどいい案配に
お露が1人長屋から出てきて
どこか暗い町中へと
消えていった。

この機を逃すわけには
いかないと、
私は覚悟を決めて
木造の長屋に
立ち入ることにした。
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