オバケの駐在所
しかしそのお露の手を
修二くんがそっとさえぎった。

「お露さん、駄目だよ。
こいつは俺の……、
その……大事な友達だから、
乱暴しないでくれ」

斜めに長く切れたお露の目は
睨むように修二くんに移り、
何かを訴えているようにも
見える彼の瞳と視線が
交差する。

お露は私に再び視線を戻すと
アゴから手を離し、
窓際の机に寄って、
修二くんの折っていた兜の
折り紙を手に持った。

「ひたむきな所は
どっかの誰かさんと
一緒だねぇ」

……ひたむき?
ってなんのことだ?

「風邪は治っただろ?」

と、明らかに
私を見て言うお露。
しかし今は
マスクもしてないから
一瞬まごついた。

「え?は、はぁ……。
でもなんで……
ご存知なのですか?」

「なつみ、別にいーだろ
今はそんなこと」

いきなり話に割り込んでくる
修二くん。

「うるさい。
私のほっぺたは殴るし、
お露さんに鼻の下は伸ばすし。
口をはさむな」

「ぐ……、
殴ったのは悪かった。
だけど鼻の下は伸ばしてねぇ」

「どーだかね。
私はこの憎い気持ちを
墓まで持っていくつもりだよ」

するとお露が近づいてきて
何故か急に抱きついてきた。
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