オバケの駐在所

翌日、学校は休みだったけど、
私は制服を着て交番を
訪れていた。

なんで制服かっていうと、
あの後修二くんと話し合って
今夜お露さんのお墓参りを
することにしたからで、
つまり喪に服したつもり。

そこにたいして意味が
あるわけでもないけど、
人よりも人らしいオバケに
行為で示したかっただけかな。

私はとりあえず奥の座敷で
お露さんのお墓に供える
鶴を折りながら、
ハジメさんと一緒に
修二くんが来るのを
待っていた。

外では木枯らしさんが
相変わらずやせ細った木々と
戯れている。

たまに勢いあまって
トタンまでを鳴らす強い音が
手元の折り目を合わせる作業の
集中力を削ぐ。

不器用だからって
言い訳じゃないよ。決してね。

「なんかすごいね、風」

「んー」

「はじめてお露さんと
会った時も
こんな強い風が吹いてて
怖かったんだ。
変なオバケでも出そうでさ」

「ふむ、
あんまむやみに怖いことを
考えないほうがいいぞ?
オバケってのは不思議に
その心を利用してくる
たちの悪いのがいるからな。
それに俺はけっこう
こーゆーの好きだよ。
部屋の中の贅沢が際立つし」

「……ふむ」

言われてみれば
冬ごもりに近い感じかな。

ハジメさんはふくよかに
お茶をすする。
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